貝博サポーターズの活動の一つである陸前高田市立博物館支援の一環として、年一回現地を訪問しています。
思いつくまま撮った画像にコメントを添えて、報告といたします。
1日目:東京~一ノ関~生出(博物館)~陸前高田市内泊
2日目:大船渡市立博物館~碁石海岸~陸前高田市内視察~歌津~南三陸~くりこま高原駅~東京
①仮収蔵庫(体育館)に置かれた舟、大き過ぎて安定化処理はまだされてない
②体育館内の仮収蔵庫
③高度な保管システムによって守られている仮収蔵庫の中。整然と安定化された標本、資料が収まっていて感動した
④民俗資料もこの通り
⑤説明をする熊谷学芸員、後姿は同行した生命の星・地球博物館の大島学芸員
⑥整理された鳥羽源蔵、千葉蘭児貝標本。3年半をかけて粛々と積み重ねられた努力と労力、そして熱意の結果と思う
⑦東京新聞に連載された陸前高田市立博物館特集のタイトルの言葉。海水に浸かってしまった資料・標本の安定化はカビ、サビとの闘いだそうです。
⑧夕暮れライトアップの「一本松」。作り物の松葉は随分抜けたらしい
⑨陸前高田の平野部海岸近くには一本松茶屋ができ、物産を売っている。周囲は未来都市のよう
⑩気仙川の向こう平地には巨大ベルトコンベアー
⑪写真右手の山から削り出した土砂をベルトコンベアーで平地に運ぶ「希望の架け橋」
⑫嵩上げのために山を削っている光景は、海岸線の被災地に共通する
⑬この高さなら大丈夫ということだろうか?まるでピラミッドの土台のような嵩上げ現場
⑭陸前高田海からのパノラマ、巨大なベルトコンベアーが土砂を運ぶ
⑮一本松トートバック
⑯酔仙吟醸 奇跡の一本松
⑰熊谷家の皆さんと
⑱碁石海岸 パノラマ
⑲大船渡博物館にて(中村)、ここは海岸線に立地しているが切り立つ崖の上で津波被害なかったとのこと
⑳大船渡のジオパーク案内
㉑熊谷さんお勧めのの磯ラーメン。3種の海藻とチャーシューの代わりにふっくらしたホタテ、透明なシンプルスープに満足
㉒南三陸町の防災庁舎は遺されていた
㉓常にイベントを企画し発信し続ける南三陸町 そうしないと忘れられてしまう危機感があるという
㉔最初に訪問した2012年より拡大した“さんさん商店街” アメリカオレゴン州からテレビ番組の撮影クルーが来ていた
㉕さんさん商店街で購入した「モスソガイ」。「あわびつぶ」とあるが種名ではない。つぶ(螺)とは特定の種ではなく「貝」を意味すると山本学芸員から教えられた
㉖歌津魚竜の展示を表す看板1
㉗南三陸町歌津は魚竜の化石で有名。魚竜館は壊滅、高台の仮設図書館内に化石の展示コーナーがあった
㉘歌津の仮設図書館前には大きな仮設住宅が
㉙テレビで見る・聞くでは感じられない、切実さが迫る
㉚南三陸の嵩上げ工事現場、これで8mくらい
㉛南三陸グランドデザイン 低地部
㉜南三陸グランドデザイン 山手高台の住宅エリア
㉝志津川高校 震災復興模型製作プロジェクトのコンタ模型
㉞南三陸町の被災後現在の画像、平野部は更地
㉟大津波被害と博物館報告書
☆ ☆ 感想 ☆ ☆
●博物館で
昨年寄贈したミニ発電機が役立っているか熊谷学芸員に伺ったところ、昆虫の標本採集に活躍しているとのこと。被災標本・資料の安定化処理だけではなく、通常の博物館活動も行っている様子がわかり、博物館再建に向けた希望を感じました。
博物館を新しく建設する件は話が出ているが、完成時期は未定とのこと。
●町の様子
陸前高田観光案内マップを昨年と比べてみると、民宿が増え、陸前沿岸道路「高田道路」の釜石方面が開通していました。大きなスーパーイオンも。
低地の嵩上げ工事は、規模と設備の巨大さに圧倒されました。新たな街を造るといった感じで復興は確かに進んでいるのですが、人々の生活となると新居を構えた方、依然仮設に住まわれている方など、一様ではないようです。
●談話から
自衛隊の活躍は本当にありがたかったそうです。
自分たちの力だけではできないことを一所懸命にやってくれたと。
同じような話は、長野県王滝村出身の方からも聞いたことがあります。
長野県西部地震災害のとき、先ず、自衛隊が来て救ってくれたことが記憶として鮮明に残っているそうです。
避難所では、野外風呂を設置してくれて久しぶりに浸かった湯の気持ちよかったこと!
今後に活かすこととしては、持病で薬を服用している人は、「薬の名前」を携帯電話に保存、写真で残しておくとよいとのことでした。血圧の薬と言っても多種あるそうですから。
(以上中村)
●陸前高田市立博物館
私は2011年8月に化石・岩石資料のレスキューに参加し、ほとんど軒下や校庭など屋外で作業したが、その後訪れていなかったので、3年ぶりに訪ねた。
2011年3月の津波で流されてしまった同館および海と貝のミュージアム、埋蔵文化財整理室の標本、図書館の図書資料などは、自衛隊などの協力により回収、旧生出小学校に運ばれた。その後水洗・脱塩・除菌・乾燥・修復され、安定化処理が施され、作業は現在も続いている。
校庭にはチェーンブロックを備えた大型の水洗用プールが設置され、校庭には処理前の標本を保存する冷蔵庫、収蔵庫が建っていた。1階は作業室・事務室として整理され、2階は収蔵庫になっていた。体育館にも収蔵庫が作られ、恒温・恒湿の収蔵設備が整っている。床下を補強することで耐荷重は800kgを確保したそうで、新館ができた後も第二収蔵設備として活用したいとのことだった。
●歌津コミュニティー図書館・魚竜
津波で化石産地も魚竜館も破壊されたが、標本は東北大学によって保管されているそうである。ウタツサウルスの実物(脊椎と肋骨の一部)や、ホロタイプのレプリカが展示されていた。大きな仮設住宅に隣接して役所の仮支所とこの図書館がある。
化石の展示はこの小さな図書館のさらに小さな一角だが、ロールスクリーンやガラスに、入り口の看板に(名称も)魚竜があしらわれており、郷土の宝として、シンボルとして、魚竜が大切にされていることがうかがわれた。
●全体を通して
行程中の津々浦々で、沖積面(河川で運ばれた堆積物でできた平地)のかさ上げ工事が行われていた。訪れた中で最も大規模だったのは陸前高田で、10-12.5mの高さまで盛るそうである。他は3-5m程度のところが多いようである。それぞれの場所で周囲の山を削り、高台に平坦面を作って居住地とし、その土砂を運んで低地をかさ上げする作業が行われていた。
地形や景観、そして恐らく生態系にとっても大規模な改変である。そのことがもたらす結果は、正確に予測することは困難であろう。“想定外”がないことを祈るばかりである。
(以上大島)
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貝博サポーターズでは、陸前高田市立博物館支援のために、陸高特別会計を設けています。
収入先は以下の通り。
①貝博受付の募金貝
②貝サポ有志によるパフォーマンスでの募金活動
③個人的寄付
使途は、図鑑、書籍等、要望のあったものを購入した代金、送付代、手数料(会計報告済み)。
2011年11月から2014年9月現在まで37件あります。