どんぶらこ図鑑 オカメブンブク
- 2017/05/15
- 03:41
こんにちは!4月から北海道に引っ越しました、濱崎です。今回から、北海道より記事をお届けします。
第2回はオカメブンブクEchinocardium cordatumです(図1、図2)。
(オカメブンブクの隣に書いてあるアルファベットの文字列は「学名」といって、生物の世界共通の名前です。高校の生物の授業で習った人もいるかもしれませんね。)
図1 オカメブンブクだよ。

図2 ひっくり返すとこんな感じ

さあ、ここでクイズです!このオカメブンブク、どんな生き物の仲間だと思いますか?次の①-③から選んでください。
①巻貝
②ウニ
③エビ・カニ・オキアミなど
正解は…
②のウニです!!!
「えっ!ウニなの!」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、ウニなのです。
皆さんがお寿司屋さんなどで目にするウニは、キタムラサキウニやエゾバフンウニといったウニで、「正形類」とよばれます。一方、このオカメブンブクのようなウニは「不正形類」とよばれます。
さて、このオカメブンブク、生きているときは、さながらタワシのような見た目をしています(生きているときの写真がなくてすみません。真鶴町立遠藤貝類博物館に展示してあったと思うので、気になる人は見に行ってね!)。ウニ綱(ウニの仲間のこと)だけあって、ちゃんと棘はあるのです。今回拾ったオカメブンブクには、よーく見ると棘が少しだけ残っていました!これは観察してみるしかありません。実体顕微鏡で観察してみると、図3のように見えました。
図3 これがオカメブンブクの棘なのです!


ん…?なんかこう、ストローっぽい?ぽくみえるだけ?私にはわからなかったので、マメウニの分類がご専門の東京大学大学院生物科学専攻所属 田中颯さんに話を伺いました!田中先輩、突然かつぶしつけな質問にお答えいただき、本当にありがとうございます!!!
濱崎「オカメブンブクの棘がストロー状に見えたのですが…」
田中先輩「その通りです。(ストロー状になっていることを)中空になっていると表現します。」
濱崎「棘が中空なのは、体を軽くして速く走るためですか?」
(走るブンブクの映像はyoutubeでも見られます)
田中先輩「棘が中空になっている理由は難しいですねー。走るブンブクも走らないブンブクもすべて中空の棘を持つので、軽量化に向いた適応ではないと思います。ちなみに、タコノマクラもカシパンもマメウニも中空の棘を持っています。」
濱崎「てっきり体を軽くするためだと思ってしまいました!」
田中先輩「砂の中での生活に適応したため、他の生物に食べられる機会が減り、その結果丈夫な棘を作る必要がなくなったのかもしれませんね。」
オカメブンブクから見えてくる進化の不思議。GWはブンブクに会いに浜辺で過ごしてはいかがでしょうか?
【参考文献】
内海富士夫(1956)『原色日本海岸動物図鑑』保育社, p119
生物学御研究所編;重井陸夫解説(1986)『相模湾産海胆類』丸善,pp128-130,PLATE 34,113
【謝辞】
今回、この記事を書くに当たり、東京大学大学院生物科学専攻所属 田中颯さんとNPO法人ディスカバーブルーの渡部孟先生、寺西聡子さんにご協力いただきました。厚く御礼申し上げます。
第2回はオカメブンブクEchinocardium cordatumです(図1、図2)。
(オカメブンブクの隣に書いてあるアルファベットの文字列は「学名」といって、生物の世界共通の名前です。高校の生物の授業で習った人もいるかもしれませんね。)
図1 オカメブンブクだよ。

図2 ひっくり返すとこんな感じ

さあ、ここでクイズです!このオカメブンブク、どんな生き物の仲間だと思いますか?次の①-③から選んでください。
①巻貝
②ウニ
③エビ・カニ・オキアミなど
正解は…
②のウニです!!!
「えっ!ウニなの!」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、ウニなのです。
皆さんがお寿司屋さんなどで目にするウニは、キタムラサキウニやエゾバフンウニといったウニで、「正形類」とよばれます。一方、このオカメブンブクのようなウニは「不正形類」とよばれます。
さて、このオカメブンブク、生きているときは、さながらタワシのような見た目をしています(生きているときの写真がなくてすみません。真鶴町立遠藤貝類博物館に展示してあったと思うので、気になる人は見に行ってね!)。ウニ綱(ウニの仲間のこと)だけあって、ちゃんと棘はあるのです。今回拾ったオカメブンブクには、よーく見ると棘が少しだけ残っていました!これは観察してみるしかありません。実体顕微鏡で観察してみると、図3のように見えました。
図3 これがオカメブンブクの棘なのです!


ん…?なんかこう、ストローっぽい?ぽくみえるだけ?私にはわからなかったので、マメウニの分類がご専門の東京大学大学院生物科学専攻所属 田中颯さんに話を伺いました!田中先輩、突然かつぶしつけな質問にお答えいただき、本当にありがとうございます!!!
濱崎「オカメブンブクの棘がストロー状に見えたのですが…」
田中先輩「その通りです。(ストロー状になっていることを)中空になっていると表現します。」
濱崎「棘が中空なのは、体を軽くして速く走るためですか?」
(走るブンブクの映像はyoutubeでも見られます)
田中先輩「棘が中空になっている理由は難しいですねー。走るブンブクも走らないブンブクもすべて中空の棘を持つので、軽量化に向いた適応ではないと思います。ちなみに、タコノマクラもカシパンもマメウニも中空の棘を持っています。」
濱崎「てっきり体を軽くするためだと思ってしまいました!」
田中先輩「砂の中での生活に適応したため、他の生物に食べられる機会が減り、その結果丈夫な棘を作る必要がなくなったのかもしれませんね。」
オカメブンブクから見えてくる進化の不思議。GWはブンブクに会いに浜辺で過ごしてはいかがでしょうか?
【参考文献】
内海富士夫(1956)『原色日本海岸動物図鑑』保育社, p119
生物学御研究所編;重井陸夫解説(1986)『相模湾産海胆類』丸善,pp128-130,PLATE 34,113
【謝辞】
今回、この記事を書くに当たり、東京大学大学院生物科学専攻所属 田中颯さんとNPO法人ディスカバーブルーの渡部孟先生、寺西聡子さんにご協力いただきました。厚く御礼申し上げます。