今年もキアシナガバチの巣が… でも、何だか不思議な行動です?!
- 2016/10/06
- 11:25
貝サポの、海辺の散策人です。今回は長文ですが「ためになる話」なのでぜひ読んでみてね。
我家の2階の窓下にハチの巣があることを教えてくれたのは、隣家の女の子(8/27)。
やっぱり今年も巣を掛けたか!…ところが何だか様子が変です。

画像①(8/31撮影)
2階の窓枠に巣がぶらさがっているが、ハチの姿が見えない。

画像②(8/31撮影)
巣から1.5mほど上方の軒下に、20~30匹の、おそらくキアシナガバチが集まって、じっとしている。
このような様子を見たのは初めてだった。
さて、どうしたものか。 あなたならどうしますか? ハチ撃退スプレーをシュー!ですか?
以前、庭の草むしりの時にハチに刺され、巣を見つけました。子どもも小さかったので、博物館の昆虫専門学芸員に対策を相談したところ、「共生しませんか!?」と言われました。「生態をよく知れば、怖がることはないですよ。野菜や草花の害虫も食べてくれて、蜂蜜を集め、果樹の花粉も運んでくれるのですから」と。
それ以来「ハチとの共生」を記憶に刻み、窓のすぐ近くや人が頻繁に通る玄関前などに巣がない限り、近づかないようにして、共生していたのです。
しかし今年はいつもと異なる様子。じっと動かないのだからと慌てずに、画像を送って問い合わせると、「巣に損傷があって出てしまったようだ。いずれどこかに飛んでいくから問題ないですよ」とのこと。その後観察を続け、川島逸郎さん(生物画家・昆虫研究者)にお会いした折、画像を見せてお話を聞くと合点がいきました。
<川島逸郎さんのお話>
これはキアシナガバチで、アシナガバチでは最大の種。齧(かじ)られた巣のようすや避難したハチの状況から、間違いなくヒメスズメバチに襲われたものです。
ヒメスズメバチは、アシナガバチ専門食の特異な習性をもつ種なので、ミツバチの巣箱を襲った例ですら稀なこととして報告されるくらいです。アシナガバチ類の巣が、無事に大きくなれるのは、ひじょうに僥倖(ぎょうこう)(思いがけない幸い)で、大抵はヒメスズメバチによって壊滅させられることがほとんどです。ですから、大きく育った巣を見ると「よくも無事で」と思わされます。
アシナガバチは、どの種も温和で、巣を叩いたり落としたり、いじめたり、よほどの刺激を加えたりしない限りは、人を攻撃したりしません。ですので、見つけてもそっと見守るのが良いと思います。
最近は、どの種も衰退が著しく、人の身近な隣人ではなくなってきました。今後は、大切に見守るくらいのほうが良いように思えます。

画像③(9/24撮影)
24日後、軒下から1m下方の窓枠に移動していた。少し数が減っているがほぼ動かず。お腹空いてない?

画像④(9/24撮影)
空家になった巣をよく観てみると、端にかじられたような痕があり、確かに襲われたように見える。
生物多様性があるからこそ、自然豊かな環境で生活ができるのだと、ハチの習性やくらしを教えてもらって学ぶことができました。皆さんも、身近な自然の様子や変化に気づいてよく観察してみると、きっとワクワク面白いことが発見できますよ!
(2か月経っても窓枠にへばりついていて、何だか家族のようでもあります)
我家の2階の窓下にハチの巣があることを教えてくれたのは、隣家の女の子(8/27)。
やっぱり今年も巣を掛けたか!…ところが何だか様子が変です。

画像①(8/31撮影)
2階の窓枠に巣がぶらさがっているが、ハチの姿が見えない。

画像②(8/31撮影)
巣から1.5mほど上方の軒下に、20~30匹の、おそらくキアシナガバチが集まって、じっとしている。
このような様子を見たのは初めてだった。
さて、どうしたものか。 あなたならどうしますか? ハチ撃退スプレーをシュー!ですか?
以前、庭の草むしりの時にハチに刺され、巣を見つけました。子どもも小さかったので、博物館の昆虫専門学芸員に対策を相談したところ、「共生しませんか!?」と言われました。「生態をよく知れば、怖がることはないですよ。野菜や草花の害虫も食べてくれて、蜂蜜を集め、果樹の花粉も運んでくれるのですから」と。
それ以来「ハチとの共生」を記憶に刻み、窓のすぐ近くや人が頻繁に通る玄関前などに巣がない限り、近づかないようにして、共生していたのです。
しかし今年はいつもと異なる様子。じっと動かないのだからと慌てずに、画像を送って問い合わせると、「巣に損傷があって出てしまったようだ。いずれどこかに飛んでいくから問題ないですよ」とのこと。その後観察を続け、川島逸郎さん(生物画家・昆虫研究者)にお会いした折、画像を見せてお話を聞くと合点がいきました。
<川島逸郎さんのお話>
これはキアシナガバチで、アシナガバチでは最大の種。齧(かじ)られた巣のようすや避難したハチの状況から、間違いなくヒメスズメバチに襲われたものです。
ヒメスズメバチは、アシナガバチ専門食の特異な習性をもつ種なので、ミツバチの巣箱を襲った例ですら稀なこととして報告されるくらいです。アシナガバチ類の巣が、無事に大きくなれるのは、ひじょうに僥倖(ぎょうこう)(思いがけない幸い)で、大抵はヒメスズメバチによって壊滅させられることがほとんどです。ですから、大きく育った巣を見ると「よくも無事で」と思わされます。
アシナガバチは、どの種も温和で、巣を叩いたり落としたり、いじめたり、よほどの刺激を加えたりしない限りは、人を攻撃したりしません。ですので、見つけてもそっと見守るのが良いと思います。
最近は、どの種も衰退が著しく、人の身近な隣人ではなくなってきました。今後は、大切に見守るくらいのほうが良いように思えます。

画像③(9/24撮影)
24日後、軒下から1m下方の窓枠に移動していた。少し数が減っているがほぼ動かず。お腹空いてない?

画像④(9/24撮影)
空家になった巣をよく観てみると、端にかじられたような痕があり、確かに襲われたように見える。
生物多様性があるからこそ、自然豊かな環境で生活ができるのだと、ハチの習性やくらしを教えてもらって学ぶことができました。皆さんも、身近な自然の様子や変化に気づいてよく観察してみると、きっとワクワク面白いことが発見できますよ!
(2か月経っても窓枠にへばりついていて、何だか家族のようでもあります)